カスハラ対策から考える、誰もが暮らしやすい社会(1)

【第1回】カスハラで心が疲れたとき、自分を責めすぎないために

2026年10月から、企業にはカスタマーハラスメント(カスハラ)対策が義務付けられました。これをきっかけに、顧客対応に関わる人の心についても考えてみたいと思います。

今回の3回シリーズでは、カスハラを直接受ける人、対応を背負う人、そして顧客として知らずに関わる人、それぞれの立場から考えていきます。

第1回は、顧客対応をする従業員の心に目を向けます。

お客様の言葉が、心に残ってしまうとき

お客様から厳しい言葉を浴びせられたり、理不尽な要求を繰り返されたりすると、仕事が終わった後も気持ちを切り替えられないことがあります。

「自分の対応が悪かったのだろうか」
「次に同じお客様が来たらどうしよう」

と考え続け、電話の音や来店するお客様の姿にさえ、不安を感じるようになることもあるでしょう。

接客や顧客対応は、相手の気持ちをくみ取ることが求められる仕事です。

だからこそ、相手の言葉を真剣に受け止める人ほど、心に負担を抱えてしまうことがあります。

すべてを自分の責任にしなくてもよいのです

お客様から苦情を受けたとき、自分の対応を振り返ることは大切です。

しかし、相手が怒っているからといって、その原因がすべて自分にあるとは限りません。

正当な苦情であれば、改善できる点を考えることも必要でしょう。

一方で、暴言や威圧的な言動、過度な要求まで、自分の責任として引き受ける必要はありません。

大切なのは、「自分に改善できること」と「自分だけでは解決できないこと」を分けて考えることです。

つらいと感じる自分を責めるのではなく、「それだけ負担がかかっていたのかもしれない」と、自分の心の状態にも目を向けてみてください。

自分の心を守ることも、仕事の一部です

カスハラ対策では、企業が組織として従業員を守るための体制を整えることが求められます。

困ったときには上司や相談窓口に伝え、一人で抱え込まないことも大切です。

また、嫌な出来事があった後は、気持ちを落ち着かせる時間を取ったり、信頼できる人に話したりすることも、自分の心を守る助けになります。

仕事だからといって、どんな言動にも耐え続けなければならないわけではありません。

相手の立場を考えることと、自分の心を大切にすることは、両立できるのです。

まずは、自分が何に疲れ、何をつらいと感じているのか。そのことに気づくところから始めてみませんか。

次回は、顧客と従業員の間に立ち、双方を守ろうとする店長や管理職が抱える心の負担について考えます。

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