カスハラ対策から考える、誰もが暮らしやすい社会(3)

【第3回】その苦情、相手の心にどんな影響を与えていますか?

2026年10月から、企業にはカスタマーハラスメント(カスハラ)対策が義務付けられました。この制度をきっかけに、顧客対応をする人や、その間に立つ人の心について考えてきました。

最終回となる今回は、私たちが顧客としてサービスを利用するときの言動について考えてみたいと思います。

不満や要望を伝えることは、悪いことではありません

商品やサービスに問題があったとき、不満や要望を伝えることは、顧客として当然の権利です。

説明を求めたり、改善をお願いしたりすること自体が、カスハラになるわけではありません。

一方で、自分の主張が正しいと思っていても、伝え方によっては相手を傷つけてしまうことがあります。

例えば、対応の遅れについて説明を求めることと、担当者を大声で責め続けることでは、相手に与える影響が違います。

大切なのは、何を伝えるかだけでなく、どのように伝えるかにも目を向けることです。

自分の正しさと、相手の気持ちは別のもの

不満を感じているときは、どうしても自分の立場から物事を考えがちです。

「こちらは困っているのだから、きちんと対応してほしい」と思うのは自然なことでしょう。

しかし、対応している相手にも、事情や責任、立場があります。

目の前の従業員が、すべてを決められるわけではないかもしれません。

店長であっても、会社の方針や限られた権限の中で判断していることがあります。

もちろん、
相手の事情を想像することは、不満を我慢したり、問題を見過ごしたりすることではありません。

自分の要望を伝えながらも、相手を人格的に否定したり、必要以上に追い詰めたりしない。

そんな伝え方を意識することはできるのではないでしょうか。

相手の立場を想像することから

私たちは、仕事をしているときには従業員や管理職であり、別の場面ではサービスを利用する顧客にもなります。

立場は違っても、誰もがそれぞれの事情や気持ちを抱えています。

だからこそ、相手の言動に不満を感じたとき、ほんの少し立ち止まってみることが大切なのだと思います。

「自分の言葉を、相手はどのように受け取るだろうか」

そう考えるだけでも、伝え方やその後の関係が変わるかもしれません。

相手の立場を想像することは、特別に難しいことではありません。

自分の正しさだけでなく、相手の心にも目を向ける。

その小さな意識が、互いを尊重できる関係につながっていくのではないでしょうか。

おわりに

カスハラ対策の義務化は、制度を整えるだけでなく、私たち一人ひとりが人との関わり方を考えるきっかけにもなると思います。

相手の立場を想像し、互いを尊重する意識が社会の常識として根づくことで、誰もが今より少し暮らしやすくなることを願っています。

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